「水俣・新潟展」そして化学物質の本

『間断なく“見える化”すべきこと』の1つに,短大のある場所が現場である新潟水俣病の問題がある。新潟市の市報その他で広報されているように,「水俣・新潟展」が8月2日から開催されることになり,現在前売り券を販売中である。


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水俣展」は水俣フォーラムが全国を巡回しているもので,ようやく第二水俣病の地で開催されることになった。会期中のボランティアスタッフ募集の話を講義で話すなどしているが,本学から行ってくれるかどうか。
なお,同フォーラム事務局の方がボランティアスタッフ説明会のために新潟に来られた際に,ジュンク堂新潟店で店長のSさんと一緒にお話を聴かせていただくことができた。今回は間に合わなかったが,サイエンスカフェにいがた水俣病を取り上げることも以前からの課題である。
水俣病については,今のところWebページで問題を広く知ってもらう活動が主であるが,2008/03/23に記したこの3月の水俣市視察の報告書(現在編集中)に以下のように書いたような反応があるのも事実で,情報更新作業を継続する必要性を痛感している。
    【本間原稿一部転載】
     教育と情報の重要性を感じていますが,つい先日,私のWebページ(http://www.ecosci.jp/rensai/mm2.html)を見た方が研究室まで訪ねてきて,お知り合いの方が高齢になって水俣病と思われる症状を示しているがどうしたらよいかと相談されました。多くの患者さんを診察している医師の連絡先を紹介した上で,地域で当時毛髪検査などがあったことなどいろいろ話を聴かせてもらい,現場でさえ伝わるべき人に情報が伝わっていない(ましてや遠隔地に移られた方はどうでしょうか),あるいは継続的な調査が行われていないことを痛感しました。
     せっかくの新潟水俣病資料館も交通が不便な場所にあり,「現場」の方々や小学生・中学生が訪れるには不都合ですし,Webサイトも含めて盛り込む情報を常に再検討する必要があるでしょう。街中にあって喫茶店も兼ねる「ほっとはうす」を見せていただいたこともあり,新潟市内に関連施設をつくるなど,より積極的な活動が欠かせないと強く感じています。

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Googleマップ上に作成した阿賀野川でたどる新潟水俣病(「水俣・新潟展」情報を追加)
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さらに,ご高齢になられた被害者の方々の声を,Webを利用してより広く聴いてもらう必要があることを機会あるごとに提言しているのだが(もちろん諸事情から患者であることを公にしていない方も多いことは存じている),それは先日の以下の番組でがん患者の事例を見て,水俣病のような弱者に被害が及ぶようなことがらをこれ以上後代にそして世界中に広めないためにも必要と一層強く考えている。

さて22日には,2008/07/21に記したようにある自作コンテンツ作成上お世話になっている書籍*1を出している出版社の方が県内各大学の研究者を訪問するために新潟に来られ,やはりジュンク堂新潟店のSさんも交えて理系図書の出版の話や学生の読書量,全国の大学・研究所の話など幅広い情報交換ができた。これもこれまでのネットはじめいろいろな場での活動があってのことと考えている。なお,その話の中で,上記書籍の再出版にあたって数ページだけ執筆をお手伝いさせてもらうことになった。原稿が採用されるかどうかわからないが,合成化学物質による環境問題にも関係する本なので(水俣病についても言及されている),がんばってみたい。

*1:ネットで私のページを見て,同書のことを問い合わせてきてくれる研究者が過去多数いる。