今年の本間ラボの活動費

私が執筆に参加している高校理科教科書の今年度の販売実績が出版社から先日届いた。3冊に関わっており,それぞれ数万部という実績が示されていて出版社の努力に感謝すると同時に,それだけの高校生の目に触れる責任の重さを改めて感じる。
教科書の単価は数百円ということから総売り上げをイメージしてもらえると思うが,学校教育に欠かせない教科書出版という事業を支えるとともに,それに伴う諸々の経済効果という見方をすれば,「ものを書く」という仕事の重みもまた違ったように見えるだろう。
そこから派生して,個人的には毎年の活動資金を提供してもらえるという“産学連携”の実践であるし,著者の所属先名を記載してもらえるというメリットも大きい。
ただし,今読んでいる以下の本に列記されている教育問題を認識しておく必要があるし,『新学習指導要領』についても次期教科書執筆のために理解したり,その後に入学してくる学生の学習範囲を正しく把握しておくという姿勢が求められることも強調しておきたい。
現代思想2009年4月号 特集=変わりゆく教育

教育の現在・未来】
教育の現在、そして未来に向けて / 佐藤学
心の教育を超えて / 小沢牧子
【新指導要領のもとで】
静かにしてセンセイの話を聞きなさい! 学校はどこまで学校であるのか / 岡崎勝
リキッド・モダンな消費社会における教育の迷走 文化と消費の抗争 / 松下良平
【新たな教育】
教育改革と教員像 / 赤田圭亮
新学習指導要領における官許の 「偽装」 / 子安潤
【教育と財政】
教育商品化の現在 / 佐々木賢
ゴリアールたちの帰還 / 谷口清彦+白石嘉治
【大学の未来】
人文系研究者であることの幸福 大学において私たちは何を信じることを許されているのか / 西山雄二
大学の未来 カッティング・エッジ / サミュエル・ウェーバー (訳=河野年宏+宮恕W裕助)
琉球大学の無謀な 「改革」 外国語授業の大幅削減は何を意味するのか / 森美千代

学生のみなさんに伝えたいのは,この仕事に限らず,私の教育・研究活動と社会的活動を支えてくれている資金*1を得るきっかけになったのは,パソコン通信とそれに続くインターネットという20年ほど前には存在せず現在は日常となった世界における独自の試行錯誤だということである。
先が見えない現在,新しい社会システムの構築が待ったなしの状況の中で,インターネットは不可欠の因子だ。それを使いこなすセンスと技術は最低限身につけてもらいたい。
また現在は,自分の立ち位置を複数保持しておくことも必須なのかも知れない(学生であれば所属大学名以外の立ち位置)*2
その意味で以下の最新情報誌は必読と言えよう。
週刊 東洋経済 2009年 5/23号 [雑誌]

副職の例として小椋 佳さんや山形浩生さんの例が出ているほか,『主要30資格を独自に格付け』など有益な情報が多い。自分のやりたいことを明確にし,常に的確な情報を仕入れる作業を不断に続けてほしい。
最後に息抜き情報。今日国際地域学部全員にメールで流したけれど(一部届かず),明日はビッグスワンラグビー慶應-法政戦が行われる。大学スポーツのよき雰囲気を感じる機会にしてはどうだろうか。まだ前売り券購入も間に合うかも。

*1:これは例えばWebページという形で学内外に還元されている。

*2:私の場合は間違いなく www.ecosci.jp がその1つになる。