コミュニケーター,インタープリター,そしてファシリテーター

一昨日紹介した,

には以下の5つの柱が呈示されている。

  1. 被災地の復旧・復興に全力を尽くします。
  2. 安全・安心で住みやすい新潟県づくりに邁進します。
  3. 医療・福祉施策の充実と、少子化対策の重点化を進めるとともに、「個」を伸ばす「人づくり」を推進します。
  4. 県内産業の振興を図るとともに、県経済を上昇気流に乗せるための諸施策を打ち出します。
  5. 「小さな政府」の実現のため「選択と集中」を一層進めます。

この中で,県のシンクタンクとなるべき新大学が果たすべき役割も多いだろう。例えば『安全・安心』の中には,GMOBSE,温暖化,新型インフルエンザ,アスベストなど,科学技術が絡む複雑な問題も含まれている。
この分野については,2006/02/10にあげた,

の第4章4節『科学技術と公共性』(p.161〜)も参考になる。この中では,2006/01/27に紹介した,

が取り上げられていて,専門家と市民の間を結び付けるコンセンサス会議という手法が解説されている(結果をまとめるのは市民パネル側)。なお,この会議で中立的な立場で企画進行役を務めるのがファシリテーターで,その役割が難しい上に重要であることは著者である小林さんの学会報告を聞いて得心することができた。このような会議が今後県内でも開催が必要になることが予測される。

なお,このような特定のテーマを扱う企画会議ではなく,日常的に科学技術の面白さや問題を市民や子ども達に対して伝えていこうとするのが,科学(サイエンス)コミュニケーターあるいはインタープリターと呼ばれる存在で,近年その養成課程やプロジェクトが各地の大学や科学館で進められている。その交流と情報交換を図る催しが一昨日開かれ,参加者のブログにその様子が報告されているので,参考にしていただきたい(以下から各プロジェクトや他のブログなどへのリンクも張られている)。

新潟にもその種が育って欲しいと願っているし,このような発想は自然科学分野に限らず,社会科学系の各分野の内容や役割を広く理解してもらうためにも重要なことは言うまでもない。異業種間,地域間,あるいは高齢者や障害者とのコミュニケーション,幼保・小・中・高・大の繋がりを考えていく上でも,新しい大学の特色の一つとして位置付けられたら面白い。