科学的精神を身につける上で欠かせない生命科学

学生は冬休みに突入。教員にとっては“バージョンアップ”の好機だろうか。『????学考』は満を持して[生命科学考]。
2006/01/27茂木健一郎さんの著書から引用した「世界知」と「生活知」は相変わらず重要なキーワードと捉えているが,記事中の科学的精神を今という時代に考える上で生命科学はその中心の1つに据えることに異論のある人は少ないだろう。
東京大学ではすでに工学部を含めて生命科学を必修にしているし*1

には,

    “もう一つ、生命科学の分野での教科書づくりの例をご紹介しましょう。今日、生命科学はさまざまな分野に関連する知識です。医療、食糧などは言うに及ばず、親子鑑定ですとか犯罪捜査といった社会問題、さらには、エネルギーや地球規模での環境などを論ずる場合にも生命科学の知識というのは不可欠です。このため、東京大学ではまず主に工学系に進む学生にも生命科学を必修にする必要があると考えまして実施しました。
     このときに、同時に必要だったのは、生命科学の構造化です。
     限られた時間の中で膨大な生物学の内容すべてを教えることはもちろんできません。そこで、生命科学の知識を構造化し、構造化した生命科学をもとに教科書をつくって、それをもとに教育しようと、そう考えたわけです。
     東京大学には何と1600人に及ぶ生命科学に関連する研究者が研究しております。そこで、部局を横断する形の教育組織をつくって教科書づくりを行っています。既に理系の学生向けの教科書を2冊つくりまして、来年の初めには文系の学生を対象とした第3の教科書をつくる予定でおります。出版いたします。”
このように1つの科目についても全学的な議論が必要ということだろう。大学の全体像をつくり上げるには大変な時間とエネルギーが必要なのだと改めて思う。
また,生命科学については

  • 朝日新聞科学部創設50周年記念シンポジウム『科学技術立国への道は』(2007/11/16開催)

でも内閣特別顧問黒川清さん*2が,次のように語っている。

    “大学入学に際して文系理系の区分は不要だ。英米では大学の入口は一つで区別はないし,政治家でも弁護士でも生物学は将来必須と認識して,時代の変化に対応している。”
いろいろな方々の声に耳を傾け,新しい場のために勉強を続けたい。で,以下の写真はこの10日間くらいの間に入手した本の一部。今年読もうと思っていて買いそびれていたものを年末に急遽発注した。本というものは本当にありがたいといつも思う。

生命科学以外にも環境学関連も含む*3

*1:理系に対して生命科学を必修にした際の教科書については筆者サイトで関連コンテンツを公開した。
 ・東京大学テキスト「生命科学」を動く分子で学ぼう!(生活環境化学の部屋)

*2:日本学術会議の前会長で,別ブログにご講演を聴いた時のことを記したことがある

*3:REACHについては別ブログ記事も参照