昨日の新潟日報に載った原稿と「社会の中の大学」ほか
昨日の新潟日報科学欄に拙著について書いた原稿を載せてもらった。
- 新版「パソコンで見る動く分子事典」が公表/多数の分子次々と合成 功罪に目を向けて*1
昨年9月の発刊時に紹介記事の掲載を頼んだところ,自分で書くように言っていただいていたのに半年遅れになったもので,編集担当者がつけてくれた上記タイトルはSTSな側面(を強調してくれたものになった*2。同紙科学欄への執筆者からの寄稿(押し売り原稿!)掲載は初めてとのことで*3,担当者の前書きも付いていて,“著作や長年のネットでの活動が認められて、日本コンピュータ化学会学会賞の受賞も決まった”ことにも言及してくれた。
受賞についての別ブログ記事より
※推薦理由掲載:SCCJ会告,7(1) [PDF]
記事あるいは上の推薦書にあるようにWebでの活動が認められての学会賞は画期的というコメントをネットでいただいている。
その点についてはたまたまいつも読んでいるブログのエントリーにあった以下のような文章と関係しているように思う。
- 最後の5章は「社会の中の大学」の捉え方が示されている。インターネットの発達が、大学と企業の付き合い方、大学と社会の付き合い方に構造的変化をもたらしている点を強調している。研究者が論文をウェブに公開し不特定多数の評価を得ることで、批判の多い同業者評価(ピアレビュー)制度をやめてみては、という大胆な提案も紹介している。
また,サイエンスコミュニケーション(2008/04/07参照)に関して言えば,上掲ブログ科学技術のアネクドートの主宰者のようにフリーの立場で活躍している例も少なくなく,そこには先日開催した,
のゲストをお願いした佐藤さんのような存在も含まれる。
- 退職のご挨拶(有機化学美術館・分館,2007/12/30)
- 参考(つい最近たてられたWikipediaの項目):佐藤健太郎(フリーライター) - Wikipedia
佐藤さんのWebコンテンツや著書に感化されて化学の道に進んだ人は少なくないし,先日のカフェにも中学生から県内大学の博士課程に在籍している方々まで駆けつけてくれたという事実から,個人の有する影響力が拡大していることを思い知らされる。
そしてもう1つブログエントリーを紹介。
過渡期ゆえいろいろ複雑な事象はあるものの,こう並べてみるとGWのさなかに書いた本記事に通底するキーワードは「けものみち」なのだと気づかされる。
*1:例によって肩書きは最初『Webサイト「生活環境化学の部屋」主宰』としたのだが,著者が地元の大学にいることがわかった方がいいということで職場の名前になった。
*2:拙稿中では,「分子のかたち展」参加に触れ,日本ではまだまだ遅れている「科学とアート」についても強調した。
*3:二昔前,福島大学の友人が海外の賞をもらった時に,遅れて知った地元新聞の記者さんから「こういう時は本人から新聞社に連絡してください」と怒られたという話を聞いて以来,何かあると宣伝するようにしている成果と言える。
*4:なお,ピアレビュー自体も2008/08/27ほかに書いたように電子ジャーナル・電子投稿などにより様変わりしている。新大学もどのような形態でその研究成果等を社会に呈示していくのか検討しておく必要があるだろう。