“見える化”と講義の品質保証は自己責任で

2008/06/24に記したQRコードの問題が新大学のスタイルを象徴するものでなければいいがと危惧するものであるが,先週末今度は全教員に配布された新しいパンフレットでもカリキュラムの全体像が見えないという状況に変化はなく,正式な認可が下りていない足枷はあるにしろ受験生に対しての“見える化”は進んでいない。今はただ幅広い分野の勉学をしておいてほしいと望むばかりである。
と言っても,しばしば書くように2年制から4年制になっても新任の教員を除いて各教員の研究内容が突然変異のように変わるわけではないので(あるいは思わぬ隠し玉を持っているスタッフがいるのかも知れないが),これまで各人が展開し続けている仕事とその情報発信を地道に継続するしかないのだろう。
個人的には,インターネットを利用した活動のほかに通常一般には見えにくい学会での活動も可能な限りWebに転載するなど“見える化”に腐心してきたという自負はあり,それは今後も変わらない。ただし,Web2.0のお陰でその手法に進化が求められる一方である。
例えば以下は別ブログ(2008/06/17)にも載せたインタラクティブな近年の活動記録で,J-STAGEに載った論文*1,学会出張*2あるいはそれ以外の諸活動の際に撮った写真や画像とともに発表資料・要旨をクリックにより読めるようになっている。


大きな地図で見る(本間の紀行録)
※表示後「Google Earth で表示」クリックで以下のようにGoogle Earth


この中には,そのJ-STAGE掲載論文に記した研究業績等が認められてこの5月に受賞することができた日本コンピュータ化学会学会賞の受賞講演要旨も含まれている。


尊敬する研究者である学会長の細矢治夫先生から賞状をいただくようなことが自分の身に起こるとは夢想だにしていなかったので,これまでの仕事を認めてくれた学会に深く感謝しているところである。
ただ,この分野についてあるいは上記ブログ記事にあるc-Japanについて理解できる素地は残念ながら現在の短大では皆無であり*3,そのことも新大学の将来に不安を抱く材料の一つとなっている。
学会年会での懇親会でも話をさせられた中で,京都大学YouTubeを利用して講義を公開していることに触れた際に何人かが驚きの声をあげてくれたのだが,比較的ネットを利用する学会においてもWeb2.0活用の急激な進展は知られていない。
洞爺湖サミットで議論されている諸問題や景気減速の中で,インターネットの活用はますます必要不可欠なものになっている。その準備は認可されれば9ヶ月に迫った開学の際にどのようなホームページ,学生向けPC利用環境,新指導手法,そして社会に向けての情報発信態勢がスタートしているのか(それ以外にも準備に時間がかかることが多々あるのだ)。全教員同報メールの活用による情報共有さえ機能していない現状を見ると暗澹たる気持ちになる。せめて現在の本学についての情報を集めてそれに対応できるように準備した上で入学してきてくれることに期待するのみである。

参考のために先日入手した本から
(これも講義の品質保証のために;現講義資料掲載写真)

最後に余談だが,2008/05/04で紹介した本

の著書のお一人で,新大学が無事開学した際には視察に来ることを表明してくださっている山内さんの講演会が日本女子大学の学祭で開かれる。新潟に来てもらえることになったらいろいろな話を聞かせていただけるのが楽しみである。これまで通り外からの眼を大切にしたい。

*1:その電子投稿初体験については2008/02/27に記載

*2:経費は半分以上自己負担で,その意味でも研究というのは極めて個人的な営みである。

*3:これも研究は個人的なものであるという事例であり,研究発表と受賞とのための出張も休暇をとり私費で行ってきたところである。