広がる新型インフルエンザ感染

どこから侵入したかわからないウイルスが神戸を皮切りにどんどん広がっている。これまでに読んできた多くの本で読んだ,感染,公衆衛生,検疫,疫学などの歴史や知見に関する記述があれこれ思い出される。見えない細菌やウイルスとの闘いの歴史の中で,ヒト自身が感染を広げる社会システムやグローバルという新しい因子の重みに思いを致す。

このような状況では速報性と正しい情報の流布が重要事項だが,2008/04/18に紹介した母校の副学長ブログにはインフルエンザに対する注意喚起のエントリーもある。


全国の大学サイト(ac.jp)でも,学生への連絡だけでなく学生の反応も含めてブログ検索に引っ掛かる情報が有用に見える。

なお,兵庫・大阪での感染者は高校の生徒が大部分という状況から,学校という場が感染を広いだり防いだりする看過できない役割を果たすことが実証されている。
もう一つ言えば,学校の休校や大学の休講が数週間に及ぶことが考えられ,その場合大学においては補講時間数が不足することも想定され,最近国内の多くの大学でも実施されているe-ラーニングによる休講中の学習環境維持やそれにともなう学生の居住所におけるWeb環境保障も重要になる。これは今回の新型インフルエンザ以前に鳥インフルエンザによるパンデミックがすでに予想されていたことから,大学という組織としてすでに考え抜かれていなければならないことであろう。
再三の手前みそになって恐縮だが,私の担当科目では豊富な学習用コンテンツに加え常に講義用最新情報(来年度の開講科目を含め)を更新しているので,学生全員が居住所で通信環境を確保できれば*1適宜学習の指示も可能になっている。

多くの感染症と闘うためにも脳という器官を発達させてきたヒトにとって今回の事態はその戦略が試されていることでもあり,大学という知のセンターでも多くの不測の事態を想定しながら豊富なチャネルに裏付けられたそのシステマティックな対応が迫られている。


参考:インフルエンザを取り上げた別ブログ記事(2009/05/06)掲載の画像
自作のインフルエンザ情報ページ

*1:これについては学内でのネットアクセス環境維持という面で開学前に問題提起しており,現在もその対応について質問を続けている一方,学生へのサポートをどうすべきか個人的に苦慮している。