倫理の時代&書店と図書館の話題

nicol052006-01-08

朝刊に以下の雑誌の広告。出版社に先日発注してあるのでそろそろ届く頃。

重要な雑誌であるが,新潟の紀伊國屋書店には置いていないので読みたい号は岩波に頼むか東京に出たときにバックナンバーを買うかしている。
今回の特集は私が新しい大学でやりたいと考えている分野の1つであるSTS(科学技術と社会)関連では必読だろう。STSについては国内外にいくつかの学会,研究会があって,私は以下の学会の年会に毎年参加して,書籍や新聞のコラム等でも活躍している先生方の話をライブで聞かせていただいている。

この年会では,下記書籍の出版のこともアナウンスされた。
科学技術社会論の技法

STSの領域は,いろいろな環境問題や最近の事故,偽装問題等を考える上でも,そして県立大学基本構想案の『国際政策』(あるいは“地域政策”)や『食の安全』の中でも重要な位置を占めると考えている。朝日新聞で今連載しているシリーズ「再生 新生」の昨日と今日の記事もSTSあるいは“倫理”の重要性を示している。

  • 『世のため人のためって何/「公」の姿 問い直す芽』(2005/01/07)
  • 『誠実さ、企業の利益に/倫理研修に続々20社』(2005/01/08)

JSTで公開している以下の技術者向けeラーニングサイトでも最先端の科学技術分野と並んで『安全』,『科学技術史』,『技術者倫理』が設けられている。

また県内の他大学との連携を考えた場合も売りにできる分野だろう。ただし,技術系の学部で以下の制度の認定を受けているところは,すでにこの領域の一部を取り入れている。

次に話題を変えて書店と図書館のことを書いてみたい。上で岩波「科学」について書いたが,昨年創刊されてこれも特集を見て購入している「バイオニクス」(県内の“新産業”考える上でも重要と思われる分野を扱っている)の最新号は紀伊國屋はじめ市内のいくつかの書店に置いてある。しかし,以下のようにバックナンバー常備店は残念ながら1店もない。

学会で県外に出るたびに,上の丸善ジュンク堂などを歩き回ってその本揃えや店の作りに感心させられ,つい市内の書店と比較してしまう。数年前,ある大手書店の営業の方になぜ新潟に出店しないのか聞いたことがあるが,当然一定以上の売り上げが見込まれなければ投資はしてくれないだろう。年々学生が本を読まなくなっているが,以下のような記事を読むと,本を読む習慣(これは大学進学の意欲を高める効果もあるだろう)を小さい時から身に付ける努力は大事だし,そのためにも身近に良質な書店と図書館は欠かせない。

筆者の場合,職場の研究費は例年学生用のパソコン(4大になれば学生全員に自分で買わせることも可能だろう)とソフトウェアに使って図書費はほとんど捻出できないので,ここ数年は私費で年に50万円以上私費で購入し,学生の教育・貸し出し用と自分の書籍執筆用,Webページ情報発信用に充てている。またネット書店で購入する場合も多く,上は昨年と一昨年のbk1から購入した分の領収書の束である。投資しなければいい仕事ができないのは大学も同じであるからやむを得ない。
新しい大学ができる時に,図書館の充実も是非期待したい。