「智(knowledge)・技(arts)・絆(communication)」を考えるフォーラムに参加して

昨日上京し,その足で以下を聴きに有楽町へ。


催しが催しだけに,すでにアクティブな方々からブログエントリーが発信されており,読み合わせれば全体の流れがわかるところがありがたい。

基調講演の安西祐一郎さん(慶應義塾長)と言えば,私のとっては以下の本でいろいろな刺激を与えてもらったことが忘れられない。『ソーシャルキャピタルの豊かなコミュニティの形成』という課題を重く受けとめ,その中に『教育機関の遍在』とあったのに力づけられた。これはパネル討論の小倉 康さん国立教育政策研究所)の『インフォーマル教育』と重なるところも多いだろう。
心の社会

北原和夫さん(国際基督教大学)の基調講演では,『教育のゴールの必要性』という語には,パネル討論の小川正賢さん(神戸大学)の話の中にあった,私たちの社会そのものが目指すゴールという重要な視点と呼応して,“なぜ学ぶのか”というテーマにつながってゆく*2
なお小川さんが最後に,communicationを『絆』と訳したことに多大な刺激を受けたと語ってくださったことに,日頃“繋ぐ努力”の必要性を感じている身として共感を覚えた。
内田麻理香さん(科学技術コミュニケーター)が日頃の多彩な活動を紹介しながら分析してくださった中では,『切り口』という語に共鳴しつつ,イベント等への参加者に関心を持ち続けてもらうという“継続性”の難しさを再認識した。

その他の方々の話も聴きながら,梅田望夫さんの言う『学習の高速道路』としてのWebの役割のことをずっと考えていた。そこに行かなければ体験できないことや生まれない『絆』も重要だが,いつでも誰でも使えるユビキタスな学習資産の蓄積も今注目されているクラウドを意識しつつ多くの機関に多彩な『切り口』で取り組んでほしいと願っている。


緊急提言「ICTニューディール」[PDF](総務省,2009/02/23)

なお,会場では登壇者の小川さんと内田さんには「聴きに来ました」とご挨拶し,フロアではK_Tachibanaさん,黒田光太郎さんとちょっと立ち話できた。サイエンスアゴラでお世話になった若だんなat新宿さんもお見かけしたが,声をかけ損なってしまった。

終了後は新橋に出て,I氏・T氏と例によって遅くまで多彩な話。久々に頭がフル回転した1日になった。

*1:別ブログ記事(2005/02/19)で言及。

*2:東京に向かう新幹線で,長岡から乗った女子高生が上野までずっと数学の問題集に取り組んでいたことを思い出しながら。